吹田市、摂津市、北摂エリアで耐震等級3+制振工法を採用した新築注文住宅をご提案しているオギ建設スタッフです。
うだるような暑さが続く日本の夏。キンキンに冷えた飲み物が美味しい季節ですね。 氷を入れたグラスに冷たい飲み物を注ぐと、あっという間にグラスの表面にびっしりと水滴がつくのを目にしたことがあると思います。
実はこの現象、 あなたの家、特に壁の中でも同じように起きている かもしれないとしたら…?
今回は、夏の住まいに潜む見えない脅威、「夏型結露」についてお話しします。
グラスの水滴が、家では「壁の中」で起きている?
冷たい飲み物を入れたグラスの表面が結露するのは、空気中の暖かい水蒸気が冷たいグラスに触れて冷やされ、水に変わるからです。
これと全く同じ原理が、夏の家でも起こっています。
- ガンガンに効かせたエアコンで室内はひんやり
- 外は太陽が照りつけ、高温多湿
この大きな温度差と高い湿度によって、冷えたグラスと同じように、家そのものが結露を起こしてしまうのです。この、夏に発生する特有の結露を 「夏型結露」 と呼びます。
しかし、グラスと家では決定的な違いがあります。 それは、結露が 「どこで発生するか」 です。
グラスはガラス一枚ですが、家の壁は、外壁材、断熱材、柱、内壁の石膏ボードなど、複雑な層で構成されています。 夏型結露は、私たちの目に見えない 「壁の内部」 で、静かに、そして深刻に進行するのです。
知られざる夏型結露の恐怖と、業界の課題
「壁の中で結露が起きるなんて、大変じゃないか!」 そう思われるのが当然です。しかし、残念ながら、この夏型結露は現在の建築基準法では想定されておらず、対策が義務付けられていません。
つまり、壁の中で結露が起きてカビだらけになっても、それは 「施工不良」とは見なされず、建築会社の責任が問われないケースがほとんど なのです。
私たちオギ建設のような、住まいの性能に真摯に向き合う工務店は、この見過ごされがちなリスクに対して独自の対策を講じています。しかし、業界全体で見れば、夏型結露対策がしっかりと施されている家は、まだ一部と言わざるを得ないのが現状です。
「うちは吹付断熱だから大丈夫ですよ」 という言葉を耳にすることもありますが、私たちは笑顔で聞き流すしかありません。連続気泡タイプの吹付断熱材が、まるでスポンジのように湿気を吸い込み、断熱材の内部がカビだらけになった悲惨な事例を、私たちは知っているからです。
結露が家を蝕む。カビ、腐朽、そして害虫…
壁の中の結露を放置すると、様々な問題を引き起こします。
- カビの発生: 壁の中で発生したカビは、やがて室内にまで胞子を飛散させ、アレルギーやシックハウス症候群の原因となります。
- 構造材の腐朽: 壁の中の湿気は、家の骨格である柱や土台といった木材を腐らせます。これにより、住宅の強度が著しく低下し、 地震に対する耐震性も損なわれてしまう のです。
- 害虫の発生: 湿気を好むシロアリやダニなどの害虫を呼び寄せる原因にもなります。
少し古いコンビニの窓ガラスが汗をかいていたり、外壁が黒ずんでいたりするのを見かけたことはありませんか?あれもまさに結露が原因です。建物全体が、常に湿気にさらされている状態なのです。
夏にこそ真価が問われる家づくりを…
小学生の理科で「飽和水蒸気量」について学んだことを覚えているでしょうか?空気が含んでいられる水分の量には限界があり、温度が下がるとその限界値も下がるため、余った水分が結露となって現れる。
何気なく見ていたグラスの水滴は、住まいの健康と安全を考える上で非常に重要なヒントを与えてくれています。
ぜひ一度、冷たい飲み物を入れたグラスを眺めながら、ご自身の住まいに思いを巡らせてみてください。「この水滴が、もし家の壁の中で起きていたら…」と。
私たちは、冬の寒さ対策はもちろんのこと、夏の高温多湿な環境でも永く安心して快適に暮らせる、本当の意味で「強い家」を建てることが重要だと考えています。
夏型結露から大切な住まいとご家族の健康を守るために。家づくりをお考えの際は、ぜひこの「見えない壁の中」にも目を向けてみてください。